9月号

鶴永武久の

経営・税務コラム

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平成15年8月15日

銀行金利の話

銀行「それじゃ、社長、今回は4.25%で・・」

社長「えっ、前回は2.5%でしたよ。ずいぶん高くなったねえ。」
銀行「市場金利があがっていまして・・・」
社長「・・・」  『いつ上がったの?』

最近の銀行は金利上げに関して節操ないです。しかも、理由を問うと、「市場金利があがりまして?」,「規定が変わって本部に通らないので」,「総合的に判断して・・・」等々、合理的な説明はなかなか得られません。

銀行(金融業)は、お金の仕入れを(調達)して、そのお金を販売(運用)するという、いわば「お金の仲介屋」であることはよく知られています。

さて、銀行はいったい

いくらでお金を仕入れているのでしょうか?

 
 銀行の仕入れの代表は「預金」ですが、それ以外に市場を通じて銀行間で貸し借りをし(金融市場)たり、日銀から借りたりして調達しています。

現在、預金金利はほとんど0%に近いわけですが、市場から調達する金利は翌日物(今日借りて明日返す)でやっぱり0%です。これを「ゼロ金利政策」と言います。ちなみに3ヶ月では0.1%くらいです。

それでは、銀行は

いくらでお金を貸してくれるのでしょうか?

 
預金や市場で調達を行った銀行は、仕入れ値に人件費や管理費などの費用全般を乗せて、利益の確保できる基準金利(=プライムレート)を決定しています。


(新)短期プライムレート(以下短プラ)

銀行が優良企業に1年未満で貸し出す際の最優遇金利です。もちろん銀行が利益のとれる金利設定となっています。

現在、大手銀行の短プラは1.375%です。

  

この金利は平成113月に設定され翌年6ヶ月ほど1.50%に戻りましたが、その後再び1.375%で推移しています。

(新)長期プライムレート(以下新長プラ)

銀行が優良企業に1年以上の長期で貸出しする際の最優遇金利です。短プラがベースとなっていて、中小中堅企業のほとんどがこの金利を基本とした契約で長期資金を借入しています。

新長プラ=短プラ+0.5

変動金利で長期資金を借入している方は金消契約の金利の規定を見て下さい。金利は基準金利+○○%とする旨明記されています。ここでいう基準金利がまさしく新長プラです。

短プラの設定が変わって、新長プラが変動すると、当然金利は高くなりますが、それ以外の要因では、原則金利が高くなることはありません。

銀行の貸出金利の大半は「短プラ」と「新長プラ」で構成されていると考えてよいと思います。

長期プライムレート(以下長プラ)

 銀行の貸出金利とはあまり関係ないのですが、国民金融公庫や住宅金融公庫などの金利は長プラで決定しています。この金利はみずほ銀行(興銀)が変更あるたび発表しています。

現行1.60%(717日現在/みずほ発表)です。

しばしば、上記の「新長プラ」と混同されますが全く別物です。余談ですが、「長プラ」はよく変動するので、銀行金利とは関係ないのにもかかわらず、上昇の発表に乗じて、銀行の担当者が金利上げ交渉に来ることがあります。十分ご注意下さい。


ところで・・・

自分たちが借りている金利は最優遇金利の1.375%や1.875%ではないのでしょう?それは、銀行が貸倒れ率を計算しながら金利を設定しているからです。ところが、この貸倒れ率というものが実は「ブラックボックス」なのです。

これについては、次回また詳しくご説明します。