3月号

 
鶴永武久の

経営税務コラム

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平成18年 3月20日

  量的緩和政策の解除!

 日銀が、3月9日に2001年以来となる量的緩和政策を5年ぶりに解除しました。経済の大きな変わり目だと思いますので少し感想を書きたいと思います。

 量的緩和政策とは、市中(金融機関)に無利息のお金をバンバン供給する制度です。
 普通はあり得ない政策です。しかし、日本経済はお金をジャブジャブ投入しなければ破綻していたということになります。
日本経済がそれほど悪かったということです。量的緩和のおかげで何とか日本経済がもちました。しかし、お金が市中に多く出回ったおかげで、いろいろな弊害も出てきたことは確かです。
ライブドア事件などはその象徴でしょう。
 いずれにせよ、お金の価値が下がったおかげで物価の上昇ということが起こってきました。
 昨年来、企業の業績も過去最高となっています。全体的に景気の回復が見られ、消費者物価も昨年対比0%以上を回復しました。その結果、この異例の金融政策を解除したわけです。
 これでやっと当たり前の金利を上下することによる経済運営ができることになりました。
 量的緩和政策により、ほとんど破綻寸前だった金融機関が相当の立ち直りを見せ、過去最大の利益を計上し、公的融資の返済もほとんど終わろうとしています。
 金融機関に関しては、独自の努力というよりも政府の公的融資や経済政策により立ち直ったと言うことになります。あまりほめられたことではありません。
 ただ、金融機関が破綻すると日本全体が終わってしまいますのでやはり破綻させるわけにもいかないのが現実です。
 何はともあれ金融機関が立ち直り、5年間をかけて日本経済が上向きになってきたわけです。
 今後の日本経済は、どのようになるのでしょうか?金融機関は、今までのように無利息のお金がバンバン手にはいることもないので、当然、貸付金利を上げてくることになります。
 体力のない我々零細企業は、借入も今までよりは難しくなり、金利負担も増えることになります。
 おそらく夏以降はその傾向が強くなると思います。本当に今年1年が日本経済の本当の意味での実力が試される事になると思います。

 株式市場も昨年のような上昇一辺倒ではなくなるでしょう。
投資信託などの運用も今までのようにはいかないでしょう。今後は株や投資信託に対する投資は注意が必要になると思います。
 最近は外貨預金も流行っていますが今年はやはり円高になるのではないでしょうか?円高になれば外貨預金の為替損が発生することになります。  世界的に金余り現象が起こっていますが、日本の量的緩和政策の解除により、お金の流れが変わってくると思います。
 今までと違って、新規の上場も難しくなってくるのではないでしょうか?  お金が不足してくると現在、一部ではバブルともいわれている不動産ファンドなども資金が集まりにくくなります。 従って、不動産価格も下がることになります。
  ここ10年くらいの間、新規の油田が発見されていないことと、中国、インドなどの石油の消費量が大幅にアップし、 原油価格が大きく上昇しています。
  今回の日本の消費者物価の0%以上上昇というのは、 実は原油価格の上昇による物価上昇だと思いますが、本当に日本経済は大丈夫なのでしょうか? 多くの専門家が集まって決めたことですから、大丈夫だとは思いますが若干の心配は残ります。
 原油価格は、今のままでは1バーレル100ドルにはなるようなことを言っています。 今現在は60ドルくらいですので、このままでは大変なことになってしまいます。
 そのためか、昨年あたりから原子力発電所の建築が世界的に始まっています。 原子力が使われると原油価格は安定すると思いますが、原子力には別に事故や核兵器等が心配されます。
 2006年は、日本の経済にとっては、大変重要な年になると思います。  私たち中小零細会社は、その時々の経済の流れに逆らうことはできません。
  今までのような考え方で資金繰りを考えることもできなくなると思います。 資金繰りは、今まで以上に厳しく、借入は難しいと言うことを念頭に置いて、 会社の経営をしなければならないと思います。

             以上