10月号

鶴永武久の

経営税務コラム

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平成16年9月20日

平成16年度の基準地価が発表された!

 私は、平成3年頃から相続税対策を仕事にしてきた。きっかけは相続で多くの人が大変困っていたことであった。日本の財産の7割は不動産になっている。当然、相続財産も土地・建物の占める比率が7割になる。相続税の対策をする上で土地価格に対する考え方が重要になってくる。

 さて、今年も基準地価が発表された。基準地価とは、各都道府県が毎年7月1日時点の特定の場所の地価を調べて発表するものだ。

 今年の概略をお話しすると、全国平均で、前年の5.6%下落から5.2%の下落となった。これは13年連続下落ということ。用途別に見ると住宅地が4.6%、商業地が6.5%下がった。住宅地はピークの平成3年から30.3%下落で昭和61年の水準、商業地は58.1%下落、昭和52年の水準だ。

 3大都市圏(東京圏、大阪圏、名古屋圏)の商業地については、前年の7.3%下落から5%下落、住宅地は、前年の6.6%下落から5%下落に共に下落幅が縮小した。
 一方、地方圏は、全用途で前年の5.1%下落から5.2%下落と若干ではあるが下落幅は拡大している。用途別に見ると商業地が前年の7.4%から7.1%へ、住宅地が前年の4.3%から4.4%下落となっている。

 いずれにしても、都市部での下落幅の縮小傾向はあるもののまだまだ、下落している状況に代わりはない。
私は思うのだが、土地の価格とは、その土地の利用価値であり、ステータスである。
ゆえに、ビジネスで使用する場合とビジネス以外で使用する場合は自ずとその考え方は違ってくる。

 20年前であれば、何の疑いもなく、過去の経済理論により経済は発展し、インフレが起こり土地の値段は上がっていく。そのため、土地は購入していて損はない。土地の値段の値上がりを期待し購入するのが常識であった。しかし、ここ13年間の土地の下落は、経済の低成長を基本とし、土地が値上がる事はないことを前提とすることが当たり前になっている。.


 

 それでは、今後日本の土地価格は、どのようになるのだろうか?地方圏はともかく、東京圏の住宅地はまだまだ高いと思う。坪当たり100万や200万円は当たり前である。常識で考えるとまだまだ下がると思う。今は、マンション等を作り有効に利用していると考えるべきだ。
 商業地にしても土地を購入し、建物を建築し賃貸するとそのほとんどはマイナスになってしまう。この常識から考えただけでもやはり、上がる事はないと思う。

 土地価格は、その土地を利用するといくらの利益が見込めるかであるから、その価格になるまでは下がり続けるのではないかと思う。
これだけ、交通網が整備され、インターネットなどの情報も簡単に手に入る現在に置いて、土地の生み出す経済的利益は、今後、縮小していくのではないかと思う。
都内の一等地に、自社ビルは必要としない時代にどんどんなっていくと思う。

 最近の新聞発表等を見ていると景気が回復し、それにより、地価も下げ止まりを見せてきた。今後は土地は値上がりするだろう。というような雰囲気にしたいような感じがする。

 土地価格を考えるときは、色々な側面から考えなければならない。経済動向、税制、国際比較、天変地異などその要因は多い。
 
今後、土地を購入したい人は、フローの所得でのみ考え、売却時のマイナスを購入価額の50%としておくと損はないと思う。それくらいの慎重さは必要である。
また、売却したい人は、早いうちに売却した方がよいと思う。
色々な指標から考えると土地価格は、今の半分になっても何もおかしくはない。それほど土地の持つ重要性は薄れてきていると思う。
これは、私の考えであるから間違いかもしれない。いずれにしても重要な事は、出来る限りのリスクを考えて投資する事である。


  
                          以上