9月号

鶴永武久の

経営税務コラム

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平成16年8月20日

会社の借入金はいくらが適正か!!

 たまに、借入金の適正額は、いくらでしょうか?という質問を受けます。今回は、借入金についての話をします。
 
 借入金には、2種類の借入金があります。その一つは
設備投資のための借入金です。車の購入や機械の購入、建物土地等の購入です。そしてもう一つが運転資金としての借入金です。

 借入金の適正額のお話しですが、借入金の元金は原則、利益からの返済となります。そのため、適正額はいくらかと大まかに聞かれると年間利益の30%の3年〜5年ということになります。もっと簡単にいうと年間利益の1.5倍が適正額ということになります。

 なぜ、年間利益の30%かというと利益には法人税が30%〜40%課税されます。例えば、年間利益1000万円の会社が法人税を300万円支払い残りの700万円のうち300万円は借入金の返済をすると400万円が内部に残るお金と言うことになります。
 年間1000万円稼いでも400万円のお金しか残りません。ですから年間1000万円の利益が出る会社の適正借入額は1500万円ということになります。   
年間300万円返済すると5年かかることになります。 
ヒェ〜〜 ということは、うちは年間利益50万円だから借入適正額は、150万円か・・・今、1000万円借りているけど大変だぁ〜ということになります。実はその通りなのです。これがホントのお話し。

この話は実は、運転資金としての借入金のお話しです。運転資金借入は、5年以内に返済できる額にすべきです。なぜか、税金計算上の損失も5年間の繰り越ししかできないからです。5年以内に儲かるビジネスにできなければ、そのビジネスは負けだと言うことになります。

では、次に設備投資の借入について話します。
 設備投資借入は、購入するものが減価償却の対象になるものか、土地やゴルフ会員権などのように

 

 償却ができないものかによりその考え方は違ってきます。減価償却できないものの購入のための借入は、上記運転資金借入と同じと考えてください。

では、償却できる設備借入金について例示で話しましょう。

 当社は、年間売上1億円、年間利益1000万円とします。そこに減価償却できる車500万円を借入で購入したとします。この場合、車の償却期間6年とすると借入期間も6年以上にすることにより資金不足はなくなります。1000万円の利益のうち法人税を300万円支払った残りの700万円は、会社に残ることになります。ゆえに設備投資の借入金は、会社の年間利益の60%の3年〜5年が適正借入金ということになります。もっと簡単に言うと年間利益の3倍以内が適正だと言うことになります。

実際には、年間利益は毎年、変わるし、予想は難しいと思うのですが、考え方としてこのような考え方になります。
よく毎月の売上の3倍が適正だとか、いや5倍まではとかいいますが、売上はその業種により粗利が違ってきますので借入金の適正額判断は年間利益でした方が良いと思います。
 今後、売上が大きくなり、利益も上昇中の会社は、どうしても借入金が増えることになりますが、これについてはその会社の成長度合いにより柔軟に考えるべき問題です。

借入金の利息については、借入額と利率によりますので、その経費性を考えるとあまり大きな問題ではありません。よっぽど高利の借入でない限り問題はないと思います。
高利の話が出たついでに、利率25%以上の借入をしている会社は、その借入を今すぐやめ、そのような行為をしたことを猛省する必要があります。そうしないと必ず倒産します。高利の借入は、麻薬中毒と同じです。やめられなくなり最後は見えています。この仕事をしていて一番いけない行為の一つが高利貸しからの借入です。どんなに少額でも絶対に行ってはいけない、経営者としての鉄則です。
  
                          以上