2月号

鶴永武久の

経営税務コラム

鶴永税理士会計事務所

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平成16年1月20日

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。

今回は、本年4月より施行される改正消費税について2回にわたり解説と意見を述べたいと思います。
 今年の主な消費税の改正は、大きく分けて、以下の3つの改正がみなさんに関係してきます。
?免税点が3,000万円から1,000万円以下に縮小。
?簡易課税制度の適用が受けられる人が売上高2億円以下から5,000万円以下に縮小。
?一般消費者に対する値段の表示方法が総額表示に一本化される。

 これらはいずれも大幅な増税となります。わかりやすくするために例をあげてみましょう。
(例)ソフト開発業を営んでいるAさんは、年間売上高が2,500万円で、今までは消費税の納税はありませんでした。
Aさんはサービス業ですから仕入れがなく、ほとんど人件費です。消費税計算上の経費は1,000万円です。そのため、簡易課税が有利ですので簡易課税の選択をすることにしました。サービス業の簡易課税における経費割合は50%です。消費税の計算をすると2,500万円×50%×5%=年間62万5,000円になります。今まで、ゼロだった消費税を62万円も支払うことになりました。
 また、上記の例で売上高が1億円で消費税計算上の経費が3,000万円だったと仮定するどうなるでしょうか?今までの簡易課税の選択では、250万円(1億円×50%×5%)の納税だったものが、今年から簡易課税が選択できなくなり、売上から消費税のかかる経費を引いた金額が課税対象となります。税額は、(1億円−3,000万円)×5%=350万円となり、税金が100万円増えることになります。人件費・社会保険料・生命保険料・減価償却費・税金などは消費税計算上の経費となりませんので、一般的にいって、粗利が大きい事業ほど簡易課税の影響は大きくなります。
 上記の改正の適用は、個人事業者は、平成17年分の申告からとなります。基準期間は2年前ですので平成15年の売上高が1,000万円以上なのか、5,000万円以上なのかにより判定することになります。

 

 売上高3,000万円以下だった個人は、平成16年中に簡易課税を選択しなければなりません。(特例で新たに課税事業者になった場合には、平成17年度中でも良い)

 法人の場合は、平成17年3月の決算から適用となりますので、簡易課税の届け出は、平成16年3月までとなります。
 いずれにいたしましても、今まで消費税が課税されなかった事業者や簡易課税で税金が少なかった事業者が、消費税が大幅に増えることになります。
 お金の管理をしっかり行い、いざ納付というときに困らないように今から準備する必要があります。
 この改正により、今までの免税事業者割合62%(368万)のうち、137万が新たな納税者になるようです。ただ、1,000万円以下の免税事業者は、39%(231万)になるようです。簡易課税の適用事業所は、106万のうち56万が簡易課税の適用を受けられなくなります。簡易課税の適用を受ける事業者は50万となります。全体の22.1%のようです。
 今回の改正が繁栄され、実際、お金を支払うのは個人が平成18年3月の申告時です。法人は、平成17年6月以降の申告時からとなります。お金を払うときに本当に大変にならないように、今から準備しておく必要があります。

 消費税は、お客様からお預かりしているもの、だから別預金にいつでも納付できるようにし、間違えても運転資金に使うことがないようにしなければなりません。
 消費税に関しては、以前から免税と簡易課税により、消費者が支払った消費税が事業者に残ってしまう、いわゆる益税の問題がありました。確かにそういう面はあるのですが、事業者側は、人件費などは消費税計算上の経費にならず、会社の決算では赤字でも消費税の納付はでてきます。
 今までの、税額が増えることは現実ですので、やはり会社経営においては大変な負担となります。政府の方針は、広く課税する方針ですので、今後税率の上昇もあるでしょう。しっかり帳簿を付けできるだけ節税をすることが必要です。

次回は、消費税の総額表示に関してお話しします。