10月号

鶴永武久の

経営・税務コラム

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平成15年9月15日

(続)銀行の貸出金利のお話

先日、我が家の自動車保険が更新でした。幸い今年も無事故であったため、保険料も60%割引の一番安い価格で更新できました。

自動車保険は一般的に、等級が上がれば上がるほど安全なドライバーとして認められ、逆に事故などで、保険の払い出しを受けると等級が下がり、高い保険料を払うことになります。

ところで、銀行の貸出金利にも、自動車保険と同じような保険料が上乗せされていることはご存知でしょうか?

貸出金利に含まれている保険料とは?
 銀行は貸出金の回収確率に応じて、金利に「保険料」を上乗せしています。自動車保険の等級と同様に、銀行は全ての融資先に対して「格付」という等級付けを行っています。 

その「格付(等級)」の善し悪しと、融資に対する担保や保証の優劣を考慮して、「保険料」を決定しています。この「保険料」をリスクプレミアムと呼んでいます。

つまり銀行の貸出金利は

貸出金利=プライムレート+リスクプレミアム

といった構成になっているのです。

金利上げとは・・・

?市場金利が上昇するとプライムレートが上がり金利が上がる。

?会社の業況が悪くなると、リスクプレミアムが上がり金利を上げられる。

銀行が行う格付とは?

実際に「格付」とはどのように行っているのでしょうか?決算書を銀行に持っていくと、その決算書から経営規模,業況,資産背景等のデータを読み取り、全ての融資先に等級をつけます。

自動車保険が20等級あるように、銀行の格付には13程度の等級が存在しており、リスクプレミアムは、

  

その等級に応じて決定されています。

かつて大半の銀行は、融資の質より量で商売をしてきました。そして、適正なリスクプレミアムを取らずに融資を行ったツケとして、バブル以降、大量の不良債権にまみれてしまいました。

その反省から、最近時の銀行の考えは、融資の量よりも質に重点を置き、リスクプレミアムをきっちり取り融資を行うという考えが浸透しているようです。

それ以外の理由(事情)は?

さらに、銀行は、過去の不良債権の処理(切り捨て)をしながら収益を改善していかなければならないという「至上命題」も課されています。(金融監督庁の政策)

これは金利に影響があるの?

実は、通常の商売の仕方(前記の金利決定)では、不良債権を切り捨てながら黒字に回復することは難しいのです。そこで、融資先の金利に過去のツケを上乗せして収益改善を図っているのです。

銀行 「それじゃ、社長、今回は4.25%で・・・」

社長 「えっ、前回は2.5%でしたよ。ずいぶん高く

なったね。」

銀行 「市場金利があがっていまして・・・」

社長 「・・・」  『いつ上がったのかなあ?』

(9月号コラム冒頭)

上記の会話の通り、銀行はそんなことは説明せずに、「市場金利が上がりまして」,「規定が変わりまして」,「慈善事業じゃないので」等の一言で金利を上げてしまう事が多く、会社側は融資が出なくなるよりはと、高い金利での更新を余儀なくされています。

会社側が苦労して、借入残高を減らしても、その分の金利が上がり、結果金利負担が減らないということが起きてしまうのです。

皆様も、金利交渉は銀行の主張を100%飲まずに「高いかな?」と思ったら、是非お気軽に当事務所までご相談ください。